小銭・釣り銭の両替はどこでできる?店舗が両替手数料を抑える段取り

公開: 2026年8月19日

「千円札が足りない」「100円玉が切れそう」——営業中に金種が偏ると、誰かが銀行へ走ることになります。ところが窓口ではかつて無料だった枚数にも料金がかかり、硬貨をまとめて持ち込めば入金でも枚数分の料金を求められる。現金を扱う店舗では珍しくない場面です。

この記事では、小銭・釣り銭の両替がどこでできて、どこではできないのかを場所ごとに整理し、両替手数料が金額ではなく枚数で決まる仕組みを、2026年8月時点で公表されている料金を例に確認します。そのうえで、無料枠と売上入金を組み合わせて手数料を抑える段取りを、金種表を軸にした週次の運用としてまとめました。

小銭・釣り銭の両替ができる場所、できない場所

店舗が必要とする両替は2方向あります。高額紙幣を千円札や硬貨に崩す方向(釣り銭の補充)と、たまった硬貨を紙幣にまとめる方向(逆両替)です。

場所できること向いている場面・注意点
銀行の窓口紙幣→硬貨、硬貨→紙幣とも可。両替依頼書に金種と枚数を書いて依頼枚数が多いときや金種を細かく指定したいとき。枚数に応じた手数料、平日日中のみ
銀行の両替機キャッシュカードや両替専用カードで紙幣を崩す少枚数の日常補充向き。キャッシュカードは「1日1回・一定枚数まで無料」が一般的、超える分は専用カード(有料)
ゆうちょ銀行(郵便局)両替業務は行っていない。硬貨の入金と払戻しの組み合わせで実質的に金種を変える硬貨をまとめて紙幣化したいとき。窓口の硬貨入金は一定枚数まで無料、ATMは硬貨を伴う取引に料金がかかる。金種を指定した払戻しは別に窓口金種指定料金
銀行のATM(自店口座から出金)必要な金種で引き出す。機種によっては金額の入力方法で千円札を指定できる紙幣の補充なら両替手数料の対象外。ATM利用手数料の時間帯や、硬貨出金の可否は機関・機種で異なる
日本銀行の本支店両替業務は行っていない(損傷した現金の引換えのみ)「日銀なら無料で崩せる」という話もあるが、通常の両替窓口ではない
釣銭準備金の配達・回収サービス警備会社などが金種指定の釣り銭を届け、売上金を回収する複数店舗や現金量の多い業態向け。料金は事業者ごと

なお、コンビニなど他店のレジは両替の窓口ではありません。「買い物のついでに崩してもらう」前提で組むと、断られた瞬間に釣り銭が詰まります。

両替手数料は「金額」ではなく「枚数」で決まる

両替の料金は、いくら両替したかではなく何枚の紙幣・硬貨を扱ったかで段階的に決まります。枚数は「持ち込む枚数と受け取る枚数の多い方」とする金融機関が多く、1万円札1枚を100円玉100枚に崩せば扱い枚数は100枚です。硬貨に崩す両替ほど枚数が膨らむのが第一のポイントです。

2026年8月時点で公表されている料金の一例として、都市銀行の窓口・両替機と、ゆうちょ銀行の硬貨取扱料金を並べます。

金融機関・区分枚数と料金(税込)備考
三菱UFJ銀行・窓口の円貨両替1〜10枚: 口座保有者は無料(1日1回)/口座なし550円
11〜500枚: 770円
501枚以上: 500枚ごとに770円加算
枚数は持ち込み・持ち帰りの多い方。無料枠はキャッシュカードか通帳の提示が条件
三菱UFJ銀行・両替機キャッシュカード: 1〜10枚まで無料(1日1回)。11枚以上は両替機用の専用カード(有料)枚数は持ち帰り(両替後)で計算。両替機の設置有無は店舗により異なる
三菱UFJ銀行・窓口の硬貨入金(大量硬貨取扱手数料)100枚まで: 無料
101〜500枚: 550円
501〜1,000枚: 1,100円
1,001枚以上: 1,650円+500枚ごとに550円
両替ではなく、入金・振込に硬貨を使うときの料金。ATMは対象外
ゆうちょ銀行・窓口の硬貨取扱料金1〜100枚: 無料
101〜500枚: 550円
501〜1,000枚: 1,100円
1,001枚以上: 500枚ごとに550円加算
2024年4月1日改定。預入・払込みで硬貨を持ち込むときの料金。同時の複数手続きは枚数を合算
ゆうちょ銀行・ATMの硬貨預払料金預入: 1〜25枚 110円/26〜50枚 220円/51〜100枚 330円
払戻し: 硬貨1枚以上で110円
硬貨は平日7:00〜18:00、1回の預入は100枚まで

要点は3つ。①口座を持つ銀行の無料枠(1日1回・少枚数)は使わなければ消える。②上の例では入金の無料枠(100枚まで)が両替の無料枠(10枚まで)より広い。③ATMは紙幣の出金なら両替手数料の枠外だが、硬貨を伴う取引は割高になりうる。

店舗が両替手数料を抑える段取り(5つの打ち手)

「安い場所を探して払う」より「払う機会と枚数を減らす」方向で考えると、次の5つに集約できます。

1. 準備金の金種を「次の両替まで持つ枚数」で組み、両替を週1〜2回にまとめる
両替の回数が増えるほど、無料枠を超える日と往復の手間が増えます。千円札・500円・100円・10円など減りやすい金種が何日で尽きるかを金種表で追い、次の両替日まで切れない枚数を準備金の構成にします。減りの速い金種だけ厚くすれば、合計を増やさず間隔を延ばせます(準備金の決め方は釣り銭の準備金はいくら用意すればいい?を参照)。
2. 無料枠は「毎日・少枚数」で使い切る
お一人さま1日1回10枚までの無料枠はまとめて使えません。だからこそ、朝の入金のついでに毎日10枚だけ崩す運用にすると、週5日で50枚を無料でこなせます。量が多い店は、専用カードや料金体系の合う金融機関へ主口座を寄せる手もあります。
3. 紙幣の補充は「両替」ではなく「出金」で済ませる
1万円札を千円札にする目的なら、自店口座からATMで千円札を引き出せば両替手数料はかかりません。ここは注意点があり、窓口で金種を指定した払戻しは両替と同じ手数料の対象と案内している銀行があります(三菱UFJ銀行は「金種指定の現金払戻し」も円貨両替手数料の対象と明記)。ATMによっては引き出す紙幣の金種を選べる機種もあるので、普段使うATMで一度確かめておきます。
4. たまった硬貨は「両替」せず、売上入金に混ぜて口座へ
逆両替で窓口へ硬貨を持ち込むと両替の無料枠(10枚程度)をすぐ超えますが、入金の無料枠は100枚までという金融機関もあります。日々の売上入金に余った硬貨を100枚以内で混ぜれば、料金をかけずに減らせます。締めの金種表で枚数を見て「今日は10円玉を80枚」と決めるのがコツです。
5. 硬貨が増える入り口を止める
端数の多い価格設定の見直し、キャッシュレス比率の引き上げ、自動釣銭機の導入は、いずれも中長期で両替の回数と枚数そのものを減らします。

硬貨が余ったとき・大量硬貨で支払われたときの考え方

逆両替と並んで悩ましいのが、お客様から大量の硬貨で支払われる場面です。通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律 第7条は、貨幣(硬貨)が法貨として通用するのは額面の20倍までと定めており、同じ硬貨は20枚までが強制通用力のある支払い、超える枚数は店側が受け取りを断っても差し支えないとされます。受け取った硬貨は自店が枚数料金を負担して処理するため、店のルールとして線を引いておくと現場が迷いません。

すでにたまった硬貨は前章のとおり入金の無料枠で減らしますが、同時に複数の手続きをすると枚数を合算する金融機関があるため、1回の持ち込みは100枚以内が目安です。

もうひとつ、両替や硬貨入金の記録はレジの現金管理と切り離さないでください。レジから硬貨を抜いて銀行へ持ち込んだのに記録がないと、その分がそのまま締めの過不足に見えます。出した金額と戻った金額を金種ごとに残し、締めで突き合わせる習慣が、節約と過不足防止を同時に支えます(確認の順番はレジ締めの手順と過不足が出たときの対応を参照)。

週次ルーティンの例|金種表 → 両替依頼 → 戻りの確認

ここまでの打ち手を小規模店舗の1週間に当てはめると、次の流れになります。混む曜日や銀行の営業日に合わせて動かしてください。

タイミングやることねらい
毎日・締め金種表で枚数を確定し、準備金の構成に対して不足・余剰の金種を書き出す両替の必要量を枚数で把握する
毎日・朝売上入金のついでに無料枠(10枚まで等)で紙幣を崩し、余った硬貨は100枚以内で入金に混ぜる無料枠を毎日使い切り、硬貨を少しずつ減らす
週1〜2回(混雑日の前日)締めの金種表から両替依頼票(金種と枚数)を作り、窓口か両替機でまとめて両替。紙幣はATM出金で代替週末や給料日後の釣り銭切れを防ぐ
両替の戻り時戻った現金を金種表に入れて合計を出し、依頼票と照合。出入りを記録に残す受け取り間違いと過不足への混入を防ぐ

この流れの起点も終点も金種表です。加えて月に一度、両替の回数と手数料の合計を振り返って準備金の構成と両替日を見直せば、手数料は「毎月いくら」の固定費として見えてきます。

両替に出す枚数決めも、戻ってきた現金の照合も、ひとつの金種表で。会員登録なしで使えます。
金種計算・レジ締めツールなら、10金種(1万円札〜1円玉)の枚数を入れると金種ごとの金額と実査現金合計が出ます。「釣銭準備金(円)」「レジ記録売上(円)」を入力すれば過不足が一致(緑)・不足(赤)・過剰(橙)で表示され、「本日の結果を記録」で日次履歴に残ります。締め報告書の印刷とCSV出力・取込にも対応。データは端末内だけで扱われます。

金種計算・レジ締めツールを使ってみる →

持ちたい枚数を先に決めて締めの実数と見比べれば、不足の金種と枚数がそのまま両替依頼票になります。

まとめ

小銭・釣り銭の両替は、銀行の窓口・両替機・自店口座からのATM出金が基本で、ゆうちょ銀行は入金と払戻しの組み合わせ、日本銀行や他店のレジは両替の窓口ではありません。手数料は枚数で段階的に決まり、硬貨に崩す両替ほど枚数が膨らむこと、無料枠は1日1回・少枚数に限られること、硬貨は「入金」の無料枠のほうが広いことが、2026年8月時点の公表料金から読み取れる要点でした。

打ち手は、払う機会と枚数そのものを減らす方向の5つ。大量硬貨での支払いは通貨法第7条の「額面の20倍まで」を目安に店のルールを決めておきます。まずは今夜の締めで金種表を確定し、不足の金種と余った硬貨を枚数で書き出すところから始めてみてください。

※本記事の両替手数料・硬貨取扱料金は、2026年8月時点で各金融機関が公表している内容を確認して記載した一例です。金融機関・店舗・カードの種類で条件は異なり改定もあるため、利用前に最新の案内で確認してください。通貨法第7条の記述は条文の紹介であり、個別の受け取り可否や会計処理の判断は、税理士など専門家にご相談ください。